治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



「もとから意味ないモノもあるよ。というよりは、この世界は要らないモノで溢れかえっている」


炭を踏み潰す足。
見下したような眼差しは、あまり見ない顔だった。


「生まれてきておきながら、ただの出来損ないばかり。そんな輩が、生きようとするここは消したいモノばかりだ」


「……、だからといって、あなたに消す権利などありませんよ」


彼の足を踏んでどかす。


炭となったそれを集めて、床上を掃除した。


そんな私を面白くなさそうに彼は見ているが。


「ユリウスは俺にとっては必要なんだよ」


「私にはあなた以外に必要なモノが山ほどあります」


的確に言えば、つれないなぁとはにかむ顔。いつものお気楽な顔に戻り少し安心をした。