アレがあるまでは。
シブリールさんがいきなり告白をしてきたあの日、ああ、それだけなら恥じらい戸惑いの女となっていたのに。
翌朝起きれば。
『成功だよ、ユリウス。俺たちは今日から一心同体だ』
私の隣でわいわい語る彼がいた。
起きた時は意味が分からなかったが、彼が私の中に入るという信じがたいことをなして……気絶しかけた。
私にとっては、中に誰かが侵入しようにも体の異常はないが……気持ちの問題。他人が自分の中にいるのは気持ち悪い。
すぐに出て下さいを叫べば彼はまた姿を現したわけだが。
これもまた地獄。
私の半径二メートルでしか行動出来ないという密接を強制されていた。
いくら突き放しても、逃げようとも、彼自身の意志なしでも離れられない体となり必ず彼は私の近くにいる。


