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私とシブリールさんの関係を適切に表現するならば、被害者と加害者だ。
一ヶ月前、森で死にそうになった彼を発見。急いで手当てをして、三日三晩どころか一週間近く私は目覚めない彼の看病をしていた。
目覚めたときは嬉しかった。
ただ。
『なんだ、また“ここ”か』
と、目覚めた彼は冷たく言う。
その言葉の意味など分からない。
強いて言えば、目覚めたことに残念がるような表情をしていただけ。
私が救ったと知るなりに義理堅い性格なのか、恩返しとして私のお手伝いをしてくれた。
今まで一人で村人の世話をしてきた私にとっては、彼の手伝いというものは大いに助かるもの。
男手があるだけで随分と楽。一ヶ月の彼との暮らしは楽しいものだった。


