治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



この変態、を心の中で付け足す。


怒鳴ってみれば、渋々とした感じで彼は一歩下がるが――捨てられた子犬みたいな目が痛い。


「何か手伝うよ」


「大丈夫です。昨日、遅くまで棚の整理やってくれたじゃないですか。シブリールさんは休んで下さい」


「それはユリウスだって同じだ。遅い上に、起きるなり治療。治癒術――魔術は体力使うんだから、君の方が疲れているだろう」


優しい言葉。
彼が言うことは当たっていた。


疲れている。
治癒術――魔術の一種だが、無(ゼロ)から有(力)を出すのは無理な術は人間の気力を使い実行されるもの。


一般的には気力=魔力とも言われているが。


「心配はいりません。村の人が苦しんでいる時に寝ている方が辛いので」


気力を根性で補う。

よし、とした感じで調合する薬草を集めていれば――ふと、木鉢を差し出された。