誰も口を開かない空間で、雷さんにコーヒーを出した。



「何があった?」

「美衣だけ連れて出て行くって言ったの」

「はぁ!?ちょっ、俺浮気とかしてねぇし!!この前のキャバ!?付き合いだから仕方なくね!?」

「違う。雷さんじゃない。あの子達のママやめることにしたの」

「えっ…?」

「ってことで、藤間のホテル使わせてもらいます。沢口さん、面倒なんて一切みなくていいですからね?」

「オイっ、お前がいなかったら送り迎えっ…」

「勝手にすればいい」



さぁ、家出しよう。



美衣の服やオムツ、ミルクをカバンに詰め、あたしの服も詰めた。



部屋にやってきた雷さんの微妙な顔。



「お前母親だろ…」

「あの子達、雷さんの言うことしかきかない」

「だからって家出なんて…。俺の仕事どうすんの?」

「シッターにでも頼めば?雷さんだって帰り遅いし。今の状況であたしいらないでしょ」

「仕事で帰りが遅いのは仕方ねぇだろ。食わせて行かなきゃなんねぇんだから」

「ごめんね。でもあたし、出て行く」



あの子達にわからせてやらなきゃならない。