突然、目の前が暗くなった。
どうやら私は、彼に抱きしめられているようだ。
『……ありがとう。
俺、倫子と結婚できて本当に良かった。
こんな俺だけど、これからもよろしくな。』
予想外の展開に、何だか涙腺が緩んできた。
「当たり前でしょ?
結婚して10年も経てば、実家の両親に、
『クーリングオフは受け付けません!』
『返品不可能!』
って言われちゃうわよ!!!
だから私は、他に行く所がないの。パパと一緒じゃなければ、困るんだから!!!」
自分でもつくづく可愛くないと思うよ…。
夫は、フッと笑うと、
『ホンッとに可愛くないよな?そういうところ。
でも俺は、そういうところも全部ひっくるめてお前が好きだから。』

