快楽の代償〜結婚記念日〜




そして現在、


『あの時は本当に焦ったよ…でも、もう忘れることはないと思う、いや、忘れない!!!』


力強く夫は言ったけれど、忘れようと覚えていようと、私の夫に対する気持ちは同じ、しわくちゃのおじいちゃん、おばあちゃんになってもずっと一緒にいたい…ううん、いるんだろうね。


『じゃ、行ってくるよ。』


「行ってらっしゃい、気をつけてね。」


玄関で夫を送り出す時、


『今夜はハンバーグが食べたいな。』


なんて、珍しく夕飯のリクエストをしてきた。


「了解、最高に美味しいの作って待ってるからね。」


よーし、今日は腕を奮って頑張っちゃうんだから!!!


『あと…みっちゃんも…』


そう言って、私をじっと見つめた。


「はぁぁぁ!!!?

朝から何言ってるの?色ボケ親父が!!!

ゴミ持ってさっさと行けーーー!!!」


夫は怒鳴られてもめげることなく、ゴミ袋を片手に上機嫌で仕事に出かけた。