そうではないとしたら、アレはなんだというのか。
葛城の内部で、何者かが必死に警鐘を鳴らす。
血流が暴れ回り、血管の中を物凄いスピードで血が巡っていた。
心臓は滅茶苦茶に血を送り込み、それでも規則正しさを繋ぎ、激しさを増しながら伸縮を繰り返す。
がんがんと頭が痛み出し、ザーザーという血流の音が、忙しなく耳を揺さぶった。
──そうではないとしたら、アレは……
葛城の視線は、自然と来栖の顔を見つめる。
伏せる目元から視線を動かしていく。
ヒトと同じような容姿ではあるが、明らかに人工の皮膚。シワやシミひとつないすべらかな肌。
そしてヒト以上の数値を叩き出す能力。
対するバイオノイドと思われていたものは、ヒトのような皮膚。ヒトと同じ数値。
ヒトと同じ……
「……まさか、ヒト、なの……?」



