激情の塞き止められた来栖を、カインはうすら笑いを浮かべて見返す。
だが来栖はその挑発に乗ることはなく、そっと視線を外した。


 そして漸く言葉を挟む余地が出来、葛城自体にも思考する余裕が出来た。

 冷静さを欠き、二人の言葉を止められなかった自分に対し、羞恥に歪む。
自らにあるまじき醜態の収拾をすべく、半ば強引に話を突き付けた。


「どっちがどうとか、優劣をつけようとするのはやめてちょうだい。もう二度とそんなこと言わないで。
……命令よ」


 葛城は危惧していた。

 もしこのような状態が、あちこちのサイバノイドとバイオノイドの間で巻き起こったら。
そうなれば事態は一気に深刻化する。

 同じヒューマンフォームロボットなのに、否、同じヒューマンフォームロボットだからこそ、確執は深まり加速していくかもしれない。


 未然に防がねば。
何か対策を練らなければならない。

 そのためには彼らの協力が不可欠だと考えた。