バイオノイドの試作品を造るための研究費の申請はすんなりとおりた。

 葛城はほっと胸を撫でおろしながら会議室を後にする。


 当然と言えば当然ではあったが、やはり少しの懸念すらなかったといえば嘘になる。

 しかしこれで、人類はまた一歩前進することが出来るであろう。
サイバノイドは機械の体に人工皮膚の外見だが、バイオノイドは全てが人間と変わらない。

 骨も内臓も髪も皮膚も筋肉も。膨大な時間と莫大な研究費がかかるだろうが、もしバイオノイドを造ることが成功したなら、わが社は一気に飛躍するだろう。

 歩む足取りが自然と早くなるのを感じながら、葛城は研究室へと向かった。