タイトルにもなっている事件現場に臨み、初動捜査を行うことー「臨場」の描写と警察組織や事件記者たちとの絡みはリアルだが、それ故に倉石のアウトローなキャラ設定が際立つ。

事件の大半は、男女の痴情のもつれが原因で、しかも男女どちらともいいトシのため、草食系男子・乙男などという言葉に浸かった若者諸君は胸焼けがするかもしれない。

またドラマ版と違い、倉石の年齢が52歳と高めに設定されているため、ドラマで倉石を演じた内場聖陽とのイメージにギャップを感じる人もいるかもしれない。

ミステリファンのブログを見ると、ドラマ版の方が面白かったという人が多い。

しかし単行本の第四話にあたる「餞(はなむけ)」は読む価値あり。

退任間近の刑事部長のもとに毎年届いていた差出人不明の葉書が、去年ぷっつりと途絶えた。

刑事部長は、差出人は幼い時に自分を捨てた実の母親ではないかと思うが、その母親と思われる女性は死んでいた。

それも、去年。