隣の席と言ったところで、交わす言葉は挨拶のみ。

特に仲良くなったわけでもなく、だから雪村の涙目のわけを知りたくても知る術がない。


ただ、いつも隣からこっそり眺めるだけだった。

いや、普通に聞けばいいんだろうけど。

何となく聞きにくい。
ってビビリか、オレは。


「こらっ、雨原!!」
「は、はいっ!!」


ガタンッ――。

突然名前を呼ばれたことに驚いて、椅子を吹っ飛ばして立ち上がった。


「アハハハハハハー」


……はぁ?

笑い声にイラついて辺りを見渡すと、オレを見て笑うクラスメイトたち。

そのままゆっくりと視線を教壇に向けると、担任がオレを睨み付けながら立っていた。


……やっべぇー。


「隣を見つめるほど、俺の授業は退屈か〜? なぁ、雨原?」

「そ、そんなことはあります……あ、あれ? あっ、ありません!!」


何すっとぼけてんだ、オレー!!