クラスの笑い者にはなるし。
気になってた雪村の涙は勘違いだったし。
雨には打たれるし。


今日は厄日だ。


いいことなんて何一つねーし。
自暴自棄にでもなるか、オレ。

なんてバカげたことを考えていると、……ん?

一瞬、何が起きたのか分からなかった。

雨の激しい音は未だ聞こえるのに、体に当たる感触が突然消えたから。

オレは恐る恐る顔を上げてみた。


……何で?

これは夢か幻か?

信じられない光景に何度も何度も瞬きを繰り返す。


なぜなら、オレの目の前には走り去ったはずの、


「あんた何やってんの?」


雪村が傘を差してオレを見下ろしながら立っていたからだ。