路地裏は人通りもなく、深いため息は誰に聞かれることもなく風と共に消えた。

暮れだした日がさらに辺りを暗くしていく。

いつまでもこうして屈んだままではいられない、そう思ったオレは立ち上がろうとした……その時。


ポツン。


頬に当たった一雫。

それはそのまま頬を伝って垂れてきた。


重い頭を上げて空を見上げると、気づけば漆黒の曇に覆われていて、瞬く間に雨がオレの顔目がけて滝のように流れてきた。


「マジでありえねぇ」


そんな呟きは今度は雨音にかき消されていく。

何だか動く気にもなれず、その場に屈んだまま地面に目をやった。


ザーァァァッ。

激しい音と共にオレの体は鞭に打たれたかのような衝撃が走り、瞬く間に雨で濡れた体は寒さで震えていく。

垂れた前髪からは、雨のように雫が滴る。

それをぼんやり眺めながら、今日何度目になるだろうため息をつきながら呟いた。


「マジだっせーな」