「は? 私が泣くわけないじゃん。あんた何言ってんの?」
えっ?
オレ、今、あんたって言われた?
聞き間違い、か?
明らかにオレの中のイメージと違う雪村の口調。
未だその現実についていけなくて、しどろもどろなオレ。
「いや、だって、さっき」
「さっき? ……あっ、あれ?」
一瞬何かを考え、そして思い出したのか少し顔の表情が和らいだかと思うと、
「アハハハハッ!」
と豪快に笑いだした。
ムカつくこともイライラすることも忘れ、その光景にただ唖然とする。
一体何なんだ。
今日は笑われてばっかだし。
「泣いてると思ったの? あーっ、おっかしー!!」
「違うのかよ! じゃあさっきのは」
「あー、さっきのは欠伸我慢して溜まった涙」
……あ、く、び?
って、えーっと。
「はい?」
「だから、欠伸!! 振り向いた拍子に零れちゃったんだよねー。最近RPGにはまっちゃって、毎晩寝不足で困っちゃうんだー」