店を出ると、つながれた手が離れていく。

自転車をまたぐ先輩の背中に、私は声をかけた。


「先輩。

私ね、頑張ったんですよ。

先輩が好きだから、必死に頑張ったんです。


これからも、精一杯生きていこうと思ってます。

死んでしまったもう一人の私のためにも。


だから、


私のこと、絶対嫌いにならないでくださいね」


「え?

う、うん。

もちろん嫌いになんか、ならないけど・・・」


先輩と並んでこぐペダルは、いつもよりずっと軽くて、

私はこのままどこまでも走って行きたいと思った。