「そうだよな。自分が双子だなんて、知らなかったわけだもんナ。
それも、自分の姉妹の体が、自分の中で育ってたなんて、
誰でもショックを受けるよ」
「はい。
バニシングツインって言うんだそうです。
結構良くあることらしいんですけど、
やっぱり・・・。
自分の中に産まれる事ができなかった姉妹がいたなんて、ショックで」
事実を知ったときは、本当にショックだった。
自分の中に、もう一人の人間が存在するなんて。
医師の話によると、一卵性の場合に、細胞分裂の段階で一人の子が成長できず、
もう一人の子の身体にその器官が残ってしまい、その器官のみが成長することがあるそうだ。
私の体内から取り出されたのは、大きさ5センチほどの“胎児”。
頭に髪の毛、それに片方の目があったらしい。
そして、頭の中には脳と思われる器官が確認された。
一説には、出産100万件に数件の割合でこのバニシングツインが起こるという。


