bitter sweet mind


「だから、俺の方こそ今までごめんな」

 深々と頭を下げる草太。

 そんな潔さと、やさしさと、強さに、なんだかさっきとは違う意味で涙が出そうになる。

 やっぱり草太はかっこいい。

 最高の彼氏だ。

「ううん。今までありがと。ホントにホントにありがとう」

 ちょっぴり涙声でわたしがそういうと、草太は顔を上げて少し照れくさそうに、

「おう」

 と、短く応えて微笑んだ。

「じゃ、今度からはなるべく一緒に色々と挑戦してみような」

「うん。お願いします、草太先生?」

「ははっ。おう、手取り足取り教えて差し上げますよ」

「そのいい方、なんだかエッチだ」

「あっはっはっ」

「ふふふ」

 わたしの彼氏が草太で本当によかったと、改めて思う。

「よし! まだまだ食材あまってるし、続きするか」

 彼なら、きっと99%不器用なわたしでも絶対に受け止めてくれるから。

「うん! あ、もうチョコないね。ちょっと待って、まだたくさん買ってあるから」

 そして、その不器用な自分を愛するだけじゃなくて、

「お? 今度はさっきと何だか色が違うな。濃いというか」

 変えていこうと思い続けていけると、確信出来るから。

「今度のはねぇ。ちょっぴり大人味のやつ……ん。いい感じかな? はい。あ~ん」

 今回のバレンタインデーは発見止まりだったけど、

「ん。あ~ん……んんっ!?」

 次こそは成功してやるんだから。

「あ、あれ? 草太?」