bitter sweet mind


「ふむ。せっかくだし食ってみるかな」

「え、えぇ?」

 思いもよらない草太の言葉に耳を疑うわたし。

 ほ、本気?

 ところが彼は眉をしかめるわけでもなく平然とした顔で、

「メロンに生ハム、マグロにマヨネーズ。案外イケるかもしれないだろう?」

「や、でも……」

「新境地は常に挑戦ってやつの後にくるもんさ。踏み出さなきゃイコールの先は導き出せやしねぇよ」

 いうやいなや。


  ぱくり


 躊躇なくひと口でチョコアボカドは彼の口の中へ。

「うっ……」

「だ、だ、大丈夫?」

 うつむいて震える草太。

 ほらもうやっぱりダメだったんでしょ!!

「は、早く流しへ――」

「うまいっ!!」

「ふぇ?」

 今、なんて?

「これ、イケるぞ! なんだろうな。もったりとしたアボカドの食感にチョコがうまく合わさってだな。あれだ、サツマイモのペーストに近いな」

「うっそだ~」

「ホントだって。まゆみも食ってみろよ」

 そういわれて半信半疑、食べてみる。

 するとどうだろう。

「確かに……美味しい」

「な?」

 すごくまろやかな口当たりで、甘味と旨味がいい感じに絡み合ってるというか。

 とにかく不思議な食感と味。

 ここ最近で1番の結果オーライだ。

「や~あれだな。こりゃ俺にはない発想だったな。まゆみだからこそ出逢えた味だ」

 わたしだからこそ?

「でも棚からぼた餅みたいなものじゃない。ほめられたものじゃないわ」

 そう。

 ただの結果オーライ。

 つまり偶然。