さてさて、まだまだフルーツはたっくさん。

「次は~バナナ」

「ん……うまい。王道だよな」

 チョコバナナがあるくらいだしね。

「それから~リンゴ」

「ふんふん……お、結構イケるもんだな。皮がこりゃハートになってんのか?」

 頑張ってウサギにしてみたんだけど、耳が短くなっちゃったのよね。

 まぁ結果オーライ。

「でねぇ。キウイも買ってみたのよ~」

「ほほぅ……って、ちょっと待て」

「ん? あ、もしかして嫌いだった?」

 そういえばキウイって独特な酸味がダメって人がいるんだったわね。

 草太って普段好き嫌いがないから何でも平気かと思ってたんだけど――

「や、そうじゃなくてだな」

「?」

「これ、キウイじゃなくて“アボカド”だろ……」

 あ、あれ?

 だって緑の皮で卵みたいな形だったからてっきり……。

 た、確かに切ってるとき「キウイってこんなだったっけ?」とは思ったりはしたけど。

 普段あまり食べないし、もしかして新しい品種かなぁ、て。

「どうしよう……もうチョコつけちゃった……」

 つける前に気付けたら他に使えたかもしれないけど。

 こうなったらもう棄てるしかないわよね。

「……ごめん。わたしって、ホントダメね。フルーツもまともに買えないなんて」

 はぁ……。

 どうしてこううまくいかないんだろう。

 気持ちばかり先走って、いつも草太に迷惑かけてばっかり。

 情けないとか、呆れるとか、そういうのを通りこして、もうなんだか泣きたくなってくる。

「はぁ……」

 せっかくの甘い空気をどんよりと腐らせるため息が思わず漏れる。

 と、