「まあ、あんまり無理しないで、周りに頼れる人がいたら頼りなよ?
…確かウチに来てくれてる塩野くんも郵便屋さんだったかな」

「環?」

俺は目を丸くした。

すぐにその名前が出てくるなんて…

塩野 環。

同じ班で同い年。

何度も見舞いに来てくれた。

「そうそう!
普段はヤマハのバイクに乗ってて、更に最近ドゥカティも買うと言ってる、浮気者」

その言い方に思わず笑ってしまった。

「…知り合い?」

門真さんは優しい目で俺を見つめた。

俺は頷く。

環がこの店の常連なのは知っていた。

「あの子なら性格も良い意味でいい加減だし、辛い事は任せちゃいなよ〜
…一人でする仕事ならまだしも、周りに人がいて、頼れるなら頼れよ。
そんな事で疲れたら損だよ」

そう言って俺の肩をポン、と叩いてくれた。