「睦海さあ…」

光さんに無視されているので落ち込んでいると祥太郎がその日の夜、車で連れ出してくれた。

「結婚に夢や希望を抱きすぎなんじゃない?」

あたしは俯いた。

「…わかんない」

ただ、光さんなら自分を飾らずに生きていけるかなあって思っただけ。

「ま、わからんよなあ」

祥太郎は苦笑いしながらウインカーを出す。

「光さんってさあ…」

ハンドルを切りながら祥太郎は続ける。

「俺らとは違って家のしがらみとかあるから、結婚するには大変なんだよね」