「ーっい!聞いてんのかよ!!」

ばっと目の前に黒い瞳が映り、現実に引き戻される。

いつの間にか私の目からは涙が溢れていた。


「貴羅…なの?」



「………お前が」


一瞬、目の前の綺麗な瞳が哀しそうに歪んだ。


「……………。」


掴んでいた手が離れる。
そのまま背を向け去って行ってしまった。




1人取り残され、立ち竦む。