走っていた足がピタッと動かなくなる。
その勢いで転けそうになり頑張って踏み止まった。

振り向いたその顔から目が離れない。
間違いなく昨日の不良だった。


でもその顔は………。

「……貴…ら…?」

昨夜は暗くてよく見えなかった顔がよく見える。
色の薄い髪に黒の綺麗な瞳。

「?」

金髪の男は急に止まった私を不審な目で見ている。

「貴羅…?」

すると金髪男の顔色が急に変わった。
男の手が私の胸ぐらを掴む。

「てめぇがリュウキか?」

何がおこったのか分からない。

リュウキは私の昔の名前。

『龍姫』は……一年前、私が捨てた名前。


「何で………?」




目の前にいるのは誰?


貴羅はもぉいないのに



目の前の男は胸ぐらを掴んだまま、まだ何かを話しているが聞こえない。


「おい!!聞いてるのかよ!!」


貴羅の声がする。


だって貴羅は……………









私の目の前で死んだのに。