私に名前を呼ばれて遠慮がちにこちらを見上げた。


「………あの、その…」

「とりあえず中入んな」


紅龍華には私以外に女がいない。
別に入れない訳じゃないけど特に入る予定もない。

男だらけの倉庫の中で視線が集まるのも当然だ。


部屋に入って扉を閉めると

「ごめんなさい!!」

と頭を下げられた。


「どうしたの?」

心配そうに顔を覗き込みながら貴羅が聞くと、小さな声で訳を話し出した。


「……皆さん、『紅龍華』っていうチームなんですよね?」

「……そうだけど?」

「それで…あの私、兄がいるんですが…その、兄もそんなことしてると思わなくて………だから……」


彼女の話が途切れたところで貴羅が「あぁ」と言って声をあげた。

「俺たちが紅龍華だって話しちゃったんだ?」



ビクッと肩を跳ねあげ罰が悪いように下を向いた。