………――
周りが騒々しい。
「いいか!てめぇら!!」
中心に少女が立っている。
どこにいても目立つ真っ赤な特攻服、背中まで伸ばした黒い髪。
背中には、黒で縁取られた赤い龍の刺繍。
『私だ……』
昔の、一番忘れたかった過去の私がいる。
「紅龍華(こうりゅうか)」
初代総長・茉山 緋音(まやま あかね)
それが昔の私。
抗争の末、たった数ヵ月で一つの街を征した後、半年で姿を消した幻の族。
「緋音!」
過去の私に話しかける黒い特攻服の金髪の男。
『貴羅………』
紅龍華副総長・西藤 貴羅(さいとう たから)。
心優しい頭脳派そして…………私の最愛の人。
今までも、これからも。