海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜


「律って知り合い、凛に居た?」

そう、これは…凛が熱にうなされながら呼んでいた名前。

あたしはこの『律』という存在のことが、前から少しばかり気にかかっていた。

「それ、凛が遼に言ったのか?」

「えっ…あ、いや。そういうわけじゃないんだけどさ」

妙に食いついてきた夏に、違和感を覚える。


「じゃあ何で律さんのこと知ってんだ…?」


あたしにそう言った夏の表情は、どことなく切なそうで。

鈍感だ、とよく言われるあたしにも、律という人物が何らかの意味で、特別な人なんだと感じさせた。


「…いや、何て言うか…寝言で言ってたんだよね」

「凛が、か?」

「う、うん…」


夏は不審そうに眉をひそめた。


「凛…何考えてんだ」


頭をかかえる夏。

な、何よ…そんな素振り見せられたら、余計気になるじゃんか!!


とにかく、律さんって人が、凛と何かわけありみたいなのは確か…かな。