海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜


「届けてください、如月さん」

「えっ…なんであたしが!」

「仕方ないでしょう。俺は他の部員を誘導しないといけませんから」


断ろうを思ったけど、暦くんの氷の眼差しが気になってそれはやめた。

この人に逆らったらどうなるか…ふふふ。


「分かったよー」

「ありがとう、頼みましたよ」

「はいよー」


あたしがしぶしぶタオルを受け取ると、暦くんの凍った顔は崩れて、優しい笑みになった。

いっつもこんな優しい部長だといいのに…。

あたしは唇をとがらせながら、凛が入っていったコテージを目指す。


「お…俺も行くっ」

「へ?」


後ろから追いついてきたのは夏。

やたら焦っているようで、なぜか息が切れている。


「つっ…付いて行く、俺もっ!」

「あ、うん…いいよ」


なに、このテンションの変な夏…。

そう思いながら、あたしは数歩下がって夏の歩調に合わせると、再びコテージを目指して歩き始める。