「一之瀬くん、着替えは持ってるんですか」

「んー…カバンの中に入れてる」

「早く着替えなさいよ。あそこのコテージなら空いてますから」

「んー」


凛は生返事をすると、しぶしぶ砂浜へ上がった。


金色なのに、まだ綺麗さを保っている髪が、水に濡れてますます綺麗に見えた。


「いいなー、俺も後で海入ろっと」


凛のびしょ濡れの後ろ姿を見て、夏が言った。


「えー、じゃああたしも一緒に海行こっかな」

「…えっ、あぁ…そ、そうだな」


独り言に返事が返ってきたことに驚いたのか、夏はあたしの顔を見て少し戸惑ったような表情をした。


「な、何…もしかしてあたしの顔に何か付いてる!?」

「いっいや! そういうワケじゃない!」


夏は慌ててあたしから顔を背けた。

何だよ…この間から妙に夏が変だ。

『おはよう』って言っただけで、顔を背けられる始末だ。

ちょっと、ショックなんだけど…あたし、何か嫌われるようなことしたかなぁ…。