「…重要な連絡事項があると言うのに…来てもらわないと困りますね」

「え、重要な連絡事項?」


ボソリと呟かれた暦くんの言葉を、あたしは聞き逃さなかった。

暦くんは分かり切ったようにため息を一つつく。


「忘れたんですか? 君はテニス部でしょう」

「あーれぇ…何だっけ?」

「俺も分かんねぇ」


視線で夏に訴えてみるものの、夏も検討がつかない様子。

テニス部に関係あること…だよね。


「はぁ…部員に部の大事な行事を忘れられるなんて、部長としては悲しいですね」


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「「合宿!?」」


呆れた顔の暦くんの口から発せられた、なんだか楽しそうな響き。

あたしと夏は声を揃って目を輝かせた。