「……つ?」 今、凛が何か言った。 ボソボソと呟く程度だったから、よく聞き取れなかった。 「え、何か言った? 凛」 あたしが問いかけると、凛はうっすらと目を開けた。 そして、布団をかけるあたしの手首を力が入らない手で掴む。 「…り、つ………律?」 「え…な、何…?」 今度は聞き取れた。 けど、それが何なのか、何を意味しているのか分からない。 『リツ』 確かにそう聞こえた。 「律っ」 握られた手首にグッと力が入る。 もう少しで体のバランスを崩すところだった。