黒いドアの横についている、インターホンを押す。 家の中は静かなのか、かすかにインターホンの音がこちらにも聞こえた。 返事ないな…。 もしかして寝てる? 『はい…』 インターホンから、鼻声が聞こえた。 多分…凛の声。 「あ、凛? あの…あたしだけど。お見舞い持ってきた。大丈夫?」 インターホンに顔を近づけて返事するも、凛からの返答は返ってこない。 『あ、あぁ…入れよ』 「あー、うん」 数秒の間をあけて返ってきた凛の返答は、ひどくだるそうだった。