「ほい、これ全部な」
「げっ…」
職員室に駆り出されたあたしは、担任にもの凄い厚みの書類の束を渡された。
これを三枚づつホッチキスで止めるらしい。
…先の見えない作業に絶望。
「なんであたしなんですかぁ〜」
「決まってるだろ。うちのクラスの男どもはガサツでこんな細かい作業やらせらんねぇよ」
「はぁ…それで女のあたしに、ですか」
「そうだ。くれぐれも綺麗に丁寧にやれよ」
担任は皮肉な笑みを浮かべると、「じゃあな」と一言言い残してどこかへ行ってしまった。
あたしはため息をひとつつく。
はあ、あたしこういう作業苦手なんだよね…。
暦くんとかなら、丁寧そうだからあたしより綺麗にやってくれそうなのに。
愚痴をこぼしたって仕事は終わらない。
あたしは仕方なく書類のてっぺんに手をつけた。

