「…忘れるところでした。俺と東くんはこれから、先に行って仕事があるので、もう行きますよ」
「え、もう行くの?」
「如月さん、君とは違って忙しいんですよ、俺達は」
な、なんかやなかんじ…。
まぁ、もともと暦くんはああいう人だったけどね。
「ほら、もたもたしてないで行きますよ、東くん」
「………ああ」
二人はスタスタと歩いて行ってしまった。
取り残されたあたしは、とりあえず凛に声をかける。
「凛ももう行くよね」
「うん、そろそろ夏も来るだろうし」
「あ、じゃあ! 先に打ってようよ! 凛と一回打ってみたかったんだ」
あたしがそう言うと、凛は視線を落として少し考えた。

