「ん、何ですか如月さん。…さっきから視線を感じるんですが」
「い、いや…部長ってばイケメンだなと思って! はは、ははは…」
「ふん、くだらない」
笑ってごまかしたけど、この人には冗談は通じないみたいです。
眼鏡のフレームをくいっと上げると、スタスタと一人で歩きだした。
「あーもー、待てよ暦っ! せっかくだから三人で行こうぜー」
「そうだそうだ!」
夏とあたしは暦くんの後を追いかける。
暦くんは少しだけ振り返ると、こっちを見て皮肉っぽく笑った。
「あんのサド部長…」
「よし、遼、走るぞ! 暦より先に部室だーっ」
「お──うっ!」
夏に続いて、あたしも走り出した。

