それから数日後。

今日は月曜日で、朝練はもちろんある。


金曜日の部活は雨で休みだったから、一之瀬さんのテニス、まだちゃんと見れてないや。


朝練とか来るのかな〜?

…いや、でも来なさそうかも。

夏がかなりの自由人だって言ってたし。



「ふぁ〜…眠いなぁ…」



今日は誰とも出会わないなぁ。

よく朝練に行く途中のテニス部員見かけるんだけど。


「でっけぇ欠伸だな」

「え?」


無防備に声がした方向を振り向くと、そこには一之瀬さんが仏頂面であたしを見ていた。

その肩にはラケットのケースが掛けられていて、これから朝練に行くんだとあたしに分からせた。


「あー一之瀬さん!!おはようございまーす?」

「…なんで疑問符なんだよ」

「いや、欠伸見られてたことに突っ込むのが先か、迷ったもんで」

「なんだそれ」


一之瀬さんは変な顔をすると、そそくさとあたしを通りすぎようとした。


な、せっかく仲良くなろうと思ったのに、なんて手強い奴だ!!


「あー一之瀬さん!!せっかくだから一緒に行こうよ!朝練来てくれるんでしょー」


引き留めたあたしを振り替えると、一之瀬さんは不思議そうな顔をした。