「こ…暦くん?」

「…あ、いえ。何でもありません」


あたしの声に、暦くんは目を伏せた。

さっきの悲しそうな顔はすっかり消え去り、いつもの隙のない暦くんに戻っていた。


「何です、如月さん?俺の顔に何か付いてますか」

「あ、いやーこれは違くて…あ、ホラ暦部長ってばイケメンだから見とれちゃったっていうか」


「ハァ…またそれですか。いい加減俺をからかうのはやめてください。…分かったら早く、席に着く」

「は、はーいぶちょ〜」


あたしは暦くんに返事をすると、自分の席に戻った。…と言っても、暦くんの斜め後ろなんだけどな。