「あー紅次郎! あたしちょっとカバン置き忘れたから先行っててー」 「分かった」 教室に戻る途中に、自分が持っているのがラケットだけだということに気がついた。 まったくあたしってば。 ラケットでどうやって勉強すんのよ。 「えっと、カバンここに置いといたはず…あ、あった」 無事カバンも手に持って、部室から出る。 その時だった。 パーン、という鋭い音が聞こえた。 (この音って…テニスのストローク音…?) あれ…でも、もう部員はみんな教室に戻ったはずじゃ…。