「佐藤、見て見て。」 「ん?」 午後の一番眠たい時間にあたる授業の真っ最中。 橘があたしを呼ぶ。 橘の方を見てみると、器用に手先のシャーペンを回していた。 「ぉお、すごーい」 「やろ?おれ、かっこよくない?」 「‥でも、地味だねぇ」 「え、‥お前、ペン回しナメんなよ!」 別にナメてなんかないんだけどな。 なんかムキになる橘がおかしくて、つい笑ってしまった。