【完】スマイリー☆症候群




「はぁ」


俺は、小さく溜息を吐く。

……これだから凡人は困る。

世の中、それほど甘くないのが現実だ。

それを知らないとは、どれだけめでたい奴なのか。

思わず呆れてしまう。……いや、寧ろ哀れに思う。

可哀想な清水。

お前は、完全に重大な点を見落としているのだ。


「惑わされるな。この文章は、フェイクだ」

「は?」

「どういうこと?」


拍子抜けしたような2人。

じっと彼等見つめて、俺は徐に口を開いた。


「文中に、暗号が隠されている」

「あ、暗号!?」


目に飛び込んできたのは、清水のひどく驚いた顔。

暗号に気がついていなかったのだから、無理もない。


「……あのー。一応、説明してくれる?」

「うんうん」


漸く事態を理解できたのか、犬塚は恐る恐る慎重な様子で尋ねてきた。


「あぁ」


そして俺は、文面に視線を移した。