「はぁ」
俺は、小さく溜息を吐く。
……これだから凡人は困る。
世の中、それほど甘くないのが現実だ。
それを知らないとは、どれだけめでたい奴なのか。
思わず呆れてしまう。……いや、寧ろ哀れに思う。
可哀想な清水。
お前は、完全に重大な点を見落としているのだ。
「惑わされるな。この文章は、フェイクだ」
「は?」
「どういうこと?」
拍子抜けしたような2人。
じっと彼等見つめて、俺は徐に口を開いた。
「文中に、暗号が隠されている」
「あ、暗号!?」
目に飛び込んできたのは、清水のひどく驚いた顔。
暗号に気がついていなかったのだから、無理もない。
「……あのー。一応、説明してくれる?」
「うんうん」
漸く事態を理解できたのか、犬塚は恐る恐る慎重な様子で尋ねてきた。
「あぁ」
そして俺は、文面に視線を移した。

