家に帰った僕は脱いだ制服を握り締めた。 少し前まで、毎日君の残り香がしたのに。 もう、何の匂いも残っていない。 (どんな、匂いだった?) すごく、甘かったんだよね。 とても、優しい匂いで。 たしか、何かの花の―― (どんな、匂いだろう) 思い出せなくて、もう残っていない残り香を求めた。 なんて意味のない行為。 笑って欲しい。 けど、僕は君を捨てた。 (捨てたくなんて、ないんだよ) 死んでも言えないね。 僕に、そんな事を言う資格はない。