かんのれあ

エレベーターを降りると、

山崎さんは車を取ってくると言い残し、社員用出入り口の向こうへと姿を消した。



それを見届け、あたしは正面出入り口から外へ出る。



すると迎えてくれるのは、

深い青色の空と、爽やかな初夏の風。


日差しは強くて、立ってるだけで汗をかくのに、

風はひんやりしていて気持ちがいい。


この季節を感じるには絶好の日和だ。




ふと、ビルの隣にある公園に目をやる。


春にはあんなに桜色に染まりきっていたというのに、

今では跡形も無く、初夏の色に染められている。