「俺はこの編集人生で、最難関の壁を乗り越えたと言っていい」


山崎さんは、自分の机に座って顎を上げ、

パイプ椅子に腰を掛けてるあたしを見下すような視線を向ける。



あたしは今、編集部へ来ている。


山崎さんのお叱りを受けるために。




あの作品が、新刊として発売されて、

しばらく経った日の事だった。