「なかなか素敵なお話でした、新刊も番外編も。」


………。


「あれだね、番外編は読み切りとしても楽しめたので、
短編集として本出せるといいね。

かんのさんは、読み切りになると独特な味が強くなるからさ、
読者層を広げる切っ掛けにきっとなると思う」


………。


「…だから、
頑張って下さいよ…」


河野さんは、笑顔のまま悲しそうに眉を寄せ、

瞳には心配そうな色を覗かせた。



ごめんなさい、ごめんなさい。


泣き虫で、ごめんなさい。



けれど
この先作家としてやっていくとして、


何年も、
十何年も、
ずっとずっと、

河野さんの"読んだよ"の一言すら聞けないなんて、

あんまりにも、辛すぎる。