外はすっかり日が暮れていた。


あたしが編集部にいる間に雨が降ったらしく、濡れた道路が街の光を反射させ、

空気の温度をこれでもかと言うくらい下げていた。


冷たい空気が耳や手や脚を容赦なく刺し、その痛さが頭の内側にまで達してくるので、

あたしは思わず眉を潜める。



――だから、瞳から涙が溢れているのは、悲いからじゃない。


足を止めて顔をマフラーに埋めるのは、空気の痛さに堪えられないからだ。



あたしは痛さを逃がすためにビルの隙間の暗闇に隠れ、声を殺して静かに泣いた。