あたしはいつも、瑠衣のぬくもりに包まれて目を覚ます。


例え眠る時にはひとりっきりでも、起きると必ず、彼はあたしを抱き締めてくれているのだ。


その日もそれは変わることなく、もうお昼も過ぎたというのにあたし達は、寒さから布団を出ることもなく、ベッドの上でまどろんでいた。



「ねぇ、煙草ないよ。」


「吸いたいヤツが取ってこいって。」


「だって寒いもん。」


瑠衣は笑いながら、あたしの唇をついばんでくれる。


まるで甘えているようだと思うと、余計にここから出られないのだけれど。



「今日、マジで寒ぃよな。」


この人は、寒いだとか雨が降っているからとかって理由だけで、仕事に行かないことが多い。


なので今日も、面倒くさくなっているのだろうけど。


仕方がなくも煙草を取りに行こうと体を起こした刹那、鳴り響いたのはあたしの携帯の音だった。


ディスプレイには、“事務所”と表示されていて、急に現実に引き戻された気がした。



『百合、仕事入った。』


声の主は、やっぱりジローだ。


事務的に話す言葉に、あたしは肩を落としてしまう。



『3時からだから。
遅れないでね、って詩音さんが。』


はいはい、とあたしは言った。


ジローはあの人の犬みたいだな、といつも思う。


鼻で笑いそうになりながらも、たったそれだけの会話を交わし、電話を切った。