「別にお前のこと口説いてるわけじゃねぇけどさ。
でも、それはたまに思うんだよな。」


嬉しくないわけではない。


でも、あたしはジュンに頼り過ぎてる部分があって、だから彼のそれは、情にも似て聞こえるのだ。


何も生まない瑠衣との関係よりは、それでもずっとマシなのかもしれないけれど。



「この街に来て良かったかどうかなんて未だにわかんねぇけど、でも俺、お前と飯食ってるとそれなりに楽しいから。」


言ってて恥ずかしくないのかな、と思うような台詞だ。


だからこっちの方が照れてしまって、口をすぼめたあたしはまた笑われた。



「まぁ、考えとけよ。」


そう、長い前髪の隙間から覗いた瞳は、柔らかく緩められる。



「つーか今日は久々の再会だし、どんどん飲もうぜ!」


「てか、あたしが払うんだっての。」


言いながらも、再び乾杯をし直した。


瑠衣のことが脳裏をよぎらないわけではないけれど、でも、目の前にある彼の笑顔に癒される自分がいることは、否めないのだ。


それはやっぱりきっと、タチの悪い依存心なのだろうけど。


ジュンは芯の強い男。


だからあたしは、真綾と同じくらい彼にも、憧れめいたものを感じているのかもしれない。


ぬくもりを求める季節というのは、怖いものだ。