吐き捨てるように、あたしは言った。


ジュンはあからさまに肩をすくめ、白灰色にため息を混じらせる。



「実家、戻ってねぇの?」


この人は、あたしが家を出た理由を知っている。


ジュンはあたしの2つ上で、中学は違うけど地元の先輩だ。


おまけに昔からこの顔なので、彼はその頃から有名で、名前に聞き覚えくらいはあった。


で、コイツもあたしのことを知っていたらしく、オーシャンで偶然会い、互いに驚いて、今があるのだけれど。



「実家の話とか、やめてよね。」


首を横に振って見せると、彼は宙を仰いだ。



「まぁ俺も、実家とかに興味ねぇけどさ。」


大して何もないところだ。


ジュンがこの街に来た理由は、「あんなちっちゃいとこで一生を終えたくない。」とのことらしいが。


互いにこの場所で、一体何を得たというのか。



「俺さぁ、いつかこの街に疲れた時、百合と一緒なら、あそこ帰っても良いと思ってるよ。」


その言葉に驚いて彼を見たけれど、でも頬杖をついたままにジュンは、お兄ちゃんみたいな顔で笑っていた。


あたし達はこの街で生きる同志のようで、だから別の意味で寄り添い過ぎているのかもしれない。


ジュンのことは好きだ。


けれどもあたしは、あんな場所に帰りたいとは思わない。



「口説いたって何も出ないっての。」