幸せって、何?


言葉の意味を噛み砕くことも出来ずにいると、ジュンはそんなあたしに瞳を滑らせた。



「ホテヘル続けてて、男は何も言わないわけ?」


彼の言わんとしていることは、わかっている。


けれどもあたしは、その瞳を無意識のうちに睨みつけてしまう。



「別に俺は、百合の仕事を軽蔑してるわけじゃねぇよ。」


けど、とジュンは言う。



「俺なら辞めろって言うけどね。」


この人は、いつもあたしにそんなことを言う。


仕事なんて他にいくらでもある、別に体売る必要ねぇだろ、女なんだから自分の幸せ考えろよ、と。


それがお兄ちゃんみたいなジュンだからか、言われる度に悲しくなる。



「あの人、あたしの仕事に興味無いと思うし。」


「何それ。
そんなんで一緒に暮らしてるとか、変じゃん。」


そんなの、わかってる。


けれどもこんなにはっきりと否定されるとは思わなくて、まるであたしは怒られた子供のように、視線を下げた。


あたしは他の男に抱かれてて、瑠衣もまた、他の女を抱いているのだと思う。


だからお互い様なのだろうし、でも、それをジュンには言えるはずもない。



「それってアンタに何か関係あんの?」


睨むと彼は、苛立つように煙草を咥えた。



「こんな街にいて、綺麗な体のヤツなんていないんだよ。」