目の前には、ふたり分の料理が運ばれてきた。


真綾はその瞬間にぱあっと顔を明るくさせ、いただきまーす、なんて言う。



「ほらぁ、百合りんもガッツリ食べんとあかんやん!
食事は元気の源やで!」


曖昧にしか笑えない。


あたしや瑠衣とは正反対で、だからその強さには、憧れさえ抱かされる。



「しゃーないから、うちのエビフライあげるわぁ!」


「ちょっと、そんなに食べられないっての!」


「あ、体重でも気にしてるん?
百合りんは乙女やねぇ。」


「そんなこと言ってないでしょ!」


こんな時だけ年上っぽく言いやがって。


仕方がなくも箸を落とすと、真綾は満足そうな顔で笑った。



「ホンマ、百合りんは世話の掛かる子やわぁ。」


「そりゃアンタだっての。」


「何でうちやねん!」


「この前、酔っ払ったアンタのこと介抱してあげたの、誰だっけ?」


言った瞬間、彼女はバツが悪そうに笑った。


真綾は食事の間中も喋り続けていて、さすがのあたしも疲労困ぱいだ。


けれどもその疲れは、決して悪いものではない。


瑠衣にもこんな相手がいれば、彼は救われていたのだろうかと、今では思う。